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2014年F1第3戦バーレーンGP

事前情報

マッサvsボッタスvsウィリアムズ、チームオーダー騒動(の続き)

ひとまず、ウィリアムズ側が両ドライバーとファンに謝罪するという形で決着をつけた…と、クレア・ウィリアムズは主張している。両ドライバーからは大したコメントは出ていない。

(個人的には、謝罪の筋が全く通っておらずよくわからないし、観客の立場としても謝罪される覚えはないと思ったのだけど。これは後で詳述するかも)

ナイトレース

今年のバーレーンはナイトレース。決勝(およびFP2とQ)は現地18時スタート。マレーシアと同じく暑い地域ですが、夜になると急激に気温が下がり、普通のレベルになります。でも今年からLTで環境データグラフが見れないんだよなあ…。

なお、来年以降もナイトレースでの開催が決まった模様。

FP~Q

予選リザルト

  • P1.ROS P2.HAM P3.RIC[-10] P4.BOT P5.PER - -P19.KOB
    • ※P3.RICは前戦より-10グリッド、P18.SUTはQ1アタック妨害により-5グリッド
  • TEAM: AMG-AMG-RBR-WIL-FIN-FER-MCL-WIL-MCL-FER
  • PU: M-M-R-M-F-F-M-M-M-F
  • FP1、フェラーリアロンソに左フロントだけソフトを履かせてリリースするという信じられないミス。おぐたん、マスオさん風の声で「えぇ~!?」を3連発。「ありえないミスですよ!」
  • アロンソの仕上がりひどい気がするけどFP3最後はタイム出てた。プッシュしてただけなのかなあ
    • 結果P10。やっぱりダメですね。パワーが出ていないとか。
  • FP3最後からVETの様子がおかしい。
    • トラブルの内容はよくわからないけど、土曜コメントで「Q2途中からダウンシフトがおかしい」と述べている。FP3でグラベルにハマったこととの関連はわからない…というかそもそもそのスピンがなんだったのかもわからない(パンクチャーのような動きだったけどはっきりとはわからなかった)
  • ロズベルグ、バトン、ライコネンがそれぞれチームメイトに勝利。
  • 可夢偉は3戦目にして今シーズン初のクリーンなFP~Qを迎えた(FP1はフラインスがドライブしたがこちらも全チームトップの35周を消化)。
    • Q1、2回目のアタックもしっかりまとめたが、届かずP19(スタートはSUTの降格で+1のP18)。決して悪いタイムではないはずだが、やはり戦えるレベルにないということだろう。現状、他のチームのトラブルがなければQ2進出は全く狙えないということだ。
  • 結局、FP~Qまで、どのマシンにもPU系の深刻なトラブルは発生しなかった。やはりPUの安定は予想以上に早いようだ。これで下位チームの棚ぼたポイントのチャンスは全く消えたと見るべきだろう。

決勝

いやー正直すっげえおもしろかった。特定チームの熱狂的ファンでなければ最高に楽しかったんじゃないかな。あまりに激しかったので、勝ったメルセデスファンの中でもニコ派vsハミ派の内紛が起きている気がするw

決勝リザルト(公式/日本語)

  • DRIVERS: P1.HAM P2.ROS P3.PER P4.RIC P5.HUL - P15.KOB
  • CONST.: AMG-AMG-FIN-RBR-FIN-RBR-WIL-WIL-FER-FER
  • PU: M-M-F-R-F-R-M-M-F-F

マッサvsボッタス、終わらず?

L24、P3.BOT P4.MAS P5.HUL P6.PERで隊列となった場面。MASからピットへ「He's losing rear tyre(BOTはもうリアがタレてるよ)」のラジオが飛ぶ。BOTの方が古いタイヤを履いており、先にタレたことで後ろが詰まってしまった。

MASは言外に「先に行かせてくれ」と要求していると思われるラジオだが、BOTは前を譲らぬまま、タイヤ交換までの2周を隊列先頭で走りきった。チームとドライバーそれぞれがどのように判断したのかは不明だが、チームでベストを狙う戦略としては、マッサだけを先に行かせてボッタスが後ろの2台を引き続きディフェンス、その間にマッサを逃げさせるというのが最も美しい形だろう。だがしかし、その判断はされなかった。

当然、先週のマッサが指示通りボッタスを先行させていれば結果は違っただろうし…っていうか、先週自分が譲らなかったくせに今週は自分に譲れとは、なんたる傲岸不遜w マッサのこの気合いの空回りは、何か決定的な出来事に繋がらないか少々心配に感じる。

マルドナド、グティエレスを夜空へ打ち上げる

L41、ピットを出たマルドが、1コーナーへターンインするグティの右サイドへ激突、グティは放り投げられる形で空中一回転ひねりして着地。「woot, what was that!?(えっ、なにが起きたの!?)」と狼狽するグティエレスのラジオ。どうやらグティはマルドの存在を全く知らなかったらしい。このような場面ではピットからドライバーへピット出口での交錯可能性についてラジオで注意を促すことが多いが、今回はしていなかったようだ。

マルドのレース後リリースによれば、「グティエレスが走行ラインを外したように見えた」のだと言う。それは確かにその通りで、グティはミスなのかレイトブレーキ気味で、エイペックスを若干逃して大回りのターンをしている。

とはいえ、ならばマルドは悪くないのかと言えば、全くそんなことはない。グティエレスが一切曲がらずエスケープゾーンへ真っ直ぐ進むと決め打ちしていない限り、あの突っ込み方はありえない。結果としてグティエレスはエイペックスを少し逃す程度でターンできているのでマルドの判断は間違っていたことになるし、そもそも、先にコーナーへ進入した方に優先権がある/後から進入する方は追突回避義務があるのは当然で、若干の不運はあれど、言い訳にはならない。単にマルドのブレーキングが遅すぎただけのことだ。もちろん、グティがチームからラジオで注意を受け取っていたとしても、回避できた事故ではないだろう。

なお、ローノーズのせいで放り投げられた、いや今回は関係ない、と意見が飛び交っているようだが、正直言ってカメラアングル悪すぎてわからん。マルドのオンボードが見れれば一発なんですが。

可夢偉、謎のスローダウン

可夢偉は2ストッパーでSn-Sn-Mnへ繋いだところでSC。第3スティントのMnへ履き替えた直後は41秒台を出していたが、SCが抜けてから急激にペースが落ち込み、46秒台前半まで下がる。落ち幅があまりに異常なので観ている側としてはトラブルを疑ったのだが、そのまま完走。レース後のリリースによれば「燃料をセーブしなければならず、ペースを保てなかった」とのことだが…

解せない。SCが6周も入ったのに、なぜそこまで燃料が足りなくなるのか?? 上位陣と違いラップダウン解消のためSC中もそこそこ走っていたとは言え、レースペースより遅く走っているわけだし、何より、じゃあSC入らなかったらどうなってたのよ、という話である。最後まで走り切れたかどうかすら怪しい。SC前までの悪くないタイムも、完走できないほどの燃料を投入しながら出していたものだとすれば、全く評価できないものになる。本当に燃料が足りなくなっただけならば、実質的にはマルシャとすら勝負にもなっていなかったと結論せざるを得ないだろう。 わからん。おかしい。


あああああ。なるほどそうか。最初から1周少ない燃料しか積んでなかったのか。ラップダウンでフィニッシュすることを見越して、マイナス1周で56周分の燃料しか積んでなかったんだ。それがSC出ちゃったから57周走らなきゃいけなくなって…うわああ。

そんな戦略アリかよと思うけど、バーレーンの場合はSC率が低いので(2013年までで1/9、2007年の1回のみだった)、ギャンブルとしてはアリだったのかもしれない。これはやっちまったなあ。

<出来事が多すぎたので、細切れ更新中>

インシーズンテスト1

今週は引き続いて火曜・水曜にインシーズンテストが行われる。

今週の数字と名言

900
F1、900戦目のグランプリレース。
夜空が映っちゃマズいですよ…
今宮さん、空中一回転ひねりを決めたグティエレスオンボードリプレイを見て。

!今回おぼえたこと ?まだわからないこと

!NASRの正しい発音
現地読みでは「ナッセ」
!ハミとニコはご近所さん
以前から、モナコの同じブロックに住んでいる。GP2の頃までは二人で一緒にいることも多かったとか。
?リフトアンドコースト
Lift and Coast. 最近川井ちゃんが連呼している。直訳の通り、(アクセルペダルから)足を離して惰性で進む、という意味だろう。「回生のために…」と川井ちゃんが言いかけていたのだけど、そこはちょっとよくわからない。エンジンブレーキと排気になにか関連性があるのかな。メカ方面全く疎いので…

以下GPニュース2014/4/11回より

!舗装特性
イギリスから持ってきた石を骨材として入れているらしい、わりと粗めなんだとか
!ダウンシフトトラブルが及ぼす影響範囲
ダウンシフトおかしい→ブレーキングへ影響→MGU-Kに影響→回生量が減る→ERSの出力低下へ繋がる。
!リフトアンドコースト(2)
燃料とタイヤのセーブが目的。またMGU-Kもチャージされる。ECUが計算したリフトオフポイント案内用のビープが流れる仕組みもある?
グティエレスのエンジニア
2年前まで可夢偉を担当していたエンジニアがグティ担当。

総括とか

稀に見る素晴らしいGP…しかし冷静になろう

バーレーン=つまらない」という固定イメージで正直全く期待していなかったのだが、驚くべきことに、素晴らしく楽しいレースになった。特にSC以降は目を離す暇がなし。

ただし、その"特別に楽しい"ラスト10周が出来上がったのは、SCのおかげだ。

6周もの間SCが入ったことで全てのマシンがきっちり並び、極端に古いタイヤを履いたマシンはなくなり、また、燃料も大幅にセーブされた。そのため全てのマシン――いや、悲しいことに、可夢偉を除く全てのマシン――は最高のポテンシャルで10周のスプリントバトルを行うことができたわけだ。

個人的には、燃料やタイヤや様々な制限の中で1レース全体の戦略を組み立てて戦うというスタイルは大好きだ、と言い続けてきた。しかし今回のレースによって、ちまちまと余計なことを気にせずドライバーとマシンの全ポテンシャルを出し切ってぶつけ合うレースは実にエキサイティングなものである、ということも再確認させられた。今のF1を不満に思う人の気持ちも、改めてよくわかった。

そしてもうひとつ。
繰り広げられた激しいバトルは、どれもチーム内バトルであったことにも留意せねばなるまい。

特にSC時には、偶然なのか必然なのか、各チーム同士2台ずつが綺麗に並んでの再スタートとなった。そのために、似た特性のマシン同士、激しいバトルが繰り広げられたのかもしれない。現状ではPU間/チーム間でのマシンの仕上がりや性格に差が付きすぎている。そのために、テクニックによるオーバーテイクの比率がずいぶん下がってしまっているように感じる(いや、これは肌感覚なので、あまり信用しないように――きっとそのうち誰かが数字を出してくれるでしょう)。

今回のレースを観て「なんだ、新しいF1も楽しいじゃん」と意見をひっくり返した人も多いようだが、まあちょっとそれは落ち着いた方がいいんじゃない、と思う次第である。(ちなみに私は元々今のF1を楽しんでいるので、そこら辺はどうでもよい。どっちだろうと楽しいよ!)

次回の展望

次回上海もティルケのストップ&ゴー系サーキット。1kmオーバーのロングストレートも2本あり、メルセデスPUの圧倒的優位は変わらないだろう。今年楽しむにはかなり不向きなサーキットであるように思う。というか、セパン→バーレーン→上海ってコース特性が…